一頃、大きな薪窯が使えなかった時期がありました。
製作意欲はあふれんばかりだったので(笑)、庭の片隅に小さな小さな窯を作りました。
木炭を用いて短時間高温焼成をする、いわゆる「楽焼」みたいな窯でした。
楽焼と言うと、鉛を利用する「低火度釉」を用いるという定説ですが、
初楽(桃山期)のころ、本当に鉛を用いたのだろうか?という疑問を持っていました。
その辺の僕の持論は、まぁともかくとして、いずれにせよ一ヶ所焼きと称して
佐野で採れる材料だけで焼物を作るという立場上(笑)、佐野で産しない鉛を
使うわけにもいきませんでした。
火の熾った木炭は、じわじわとゆっくり燃えるイメージですが、
強制的に空気を送ってやると、信じられないくらい高温になります。
実際、今現在、僕が使用している薪窯よりもはるかに高温なのです。
ちょっと油断していると、土が飴のようにドロ~ンとなってしまいます。
もちろん、おもに石や土を砕いて作った釉薬も、特に鉛などを入れなくても、問題なく融けていました。
木炭に強制的に送風するのに、最初はドライヤーを使っていましたが、
いつもの悪い癖が出てきて(笑)、「昔はドライヤーなんか無かったよな」となり、
次に、鞴(ふいご)に異様に(!)興味が湧いてきて、結局作っちゃいました。
ふいご一つを取ってみても、いろいろ考えたり調べたりすると面白いものです。
まして、それを作って実際に使うとなるとなおさら。
これがその時に作ったふいご
持ち手を押しても引いても側面下の穴から空気が出てきます。
上の板を外すと中はこんな感じ。四つの弁によって空気の出入りがコントロールされています。
日本で古くからある方式で、シンプルさ、頑丈さ、効率の良さ。
昔の人に脱帽でした。
ふいごに取り込まれた空気がこの穴から噴出します。
今は薪窯で焼いているので、ふいごは使わなくなりましたが、
その当時作っていたのと似たような茶碗を昨日から作っていて何となく思い出して
物置から引っ張り出してみました。
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